自然は美しく厳しいよりも平凡で穏やかな方がいい

キャンピングカーで分かったこと

 現在は栃木での田舎暮らしに満足しているので旅に出ることは一切なくなったけれど、10年間ほど年に数回はキャンピングカーで北海道から九州まであちこち旅をしてまわった。
 海、山、河の絶景ポイントでの宿泊が何よりの楽しみだったけれど、どんな絶景も3日で飽きることがわかった。特に海は風景に変化もなければ複雑さもないので、直ぐに飽きる。最初は心地よかった波音も、延々聞き続けているとただの騒音になる。
 流れのあまりない河も海と似たような感じ。流れのある川は変化があっていいのだけれど、川のせせらぎの音というのは波音以上にウザい。波音は波長が変わるので心地よさを感じるけれど、同じ周波数の音を延々聞かされると、放送終了したテレビのホワイトノイズと何ら変わらなく感じてくる。

森の中が一番落ち着く

 遠景に残雪残る高山なんかあるとかっこいいんだけど、それもすぐ飽きる。高い山の傍はたいてい○○おろしという強風が吹くので畑仕事や外作業は困難な日が多く冬は空っ風が身に染みる。
 山というより森、広葉樹の林に囲まれていると、心の底から落ち着く。多種の樹木から成る風景は、陽が差す方向によって刻々とその姿を変えていく。新緑、紅葉など季節の変化もあり飽きることがない。
 風景にこだわってもすぐ飽きるのであれば、北海道や沖縄、日本アルプスなど絶景だけど気候が厳しいところは避けるべきだ。
 自給自足的な要素を取り入れようとするなら、日本海側は不利だ。冬の降雪と日照不足は如何ともしがたい。東北で住み良かった場所は原発汚染された。
 
 消去法により関東以南の本州、九州の太平洋側及び四国で考える。
 

海沿いは台風、内陸は寒暖差が問題

 家屋内は冷暖房でどうとでもなるけれど、畑をするなら沿岸部のほうが寒暖差が少ないので、いろんな作物を長く収穫することができる。内陸では冬は-5度以下、夏は35度以上になるので適温で栽培できる期間が少なくなる。一品種を特定の時期に大量出荷するプロ農家ならともかく、多品種を長期にわたって栽培する自給農なら20度前後で安定している太平洋沿岸部の方が有利だ。
 しかし、よりによって収穫最盛期に来る台風の被害は、太平洋沿岸部が圧倒的に大きい。一方内陸に50kmも入ると、直撃しても大きな低気圧という程度なので壊滅的な被害は免れる。台風でなくても滝のような雨がしょっちゅう降るので、土壌の肥料分が流出しやすいだろうし管理が大変かも知れない。
 
  
 海の近くは一般に強い風が吹き、畑仕事や外作業は困難な日が多い。
 高山が見えるところはたいてい○○おろしという強風が吹くので、低山が連なるような地域の方が住みやすいだろう。
 
 

太平洋沿岸部のピンポイント

 太平洋沿岸部でも、比較的台風の被害が少ない場所がある。
 日本上空は常に偏西風が吹いているので、台風はほとんど南西から来る。
 よって、南西側に半島や高い山がある場所は、沿岸部であっても台風にとっては内陸と同じになる。
 その場所って、東京と名古屋と大阪。
 別の意味で田舎暮らしに向いていないというか、都会そのもの。
 やっぱり住みやすいところには人が集まるのは当然か。
 
 それでも探せば自然が残っていて、地理的に似た場所はある。
 伊豆半島の東側、伊東付近、紀伊半島の東側の伊勢地域、特に松坂付近は気候データを見る限りかなり住み良いように思える。ただし、どちらも交通の便はあまりよろしくない。伊豆は物価が高いのが難点だ。平野部が少なく高級別荘ばかりで地価も高い。お金に不自由ない人には日本一の地域。
 

気候なら瀬戸内地域がベスト

 台風にとっては内陸でかつ海沿いというポジションを得られる。
 もっとも内海で暖流があるわけではないから、沿岸部といっても太平洋ほど寒暖差が少ないわけではないけれど、内陸部に比べるとかなり穏やか。降水量が少なく、日照量が多い。自給農にとって最適な環境。極端に人口が集中していないのもいい。
 弱点は三大都市圏から距離があることと、南北方向への動きしろが少なくて車旅が好きな人には物足りないかも。北海道や日本アルプスへ行くもの大変だ。
 都市にしろ自然にしろ極端なものがないので、非日常の刺激を定期的に必要とする人には向いていないかもしれない。
 
  
 
 

九州、四国の太平洋側、紀伊半島

 とにかく雨が多い。関東平野の倍以上の年間降水量があるし、台風も直撃する。地形が雨による侵食により急峻で平野が少ないので、直線の道路が少なく移動に大変な時間がかかる。
 温暖で水不足の心配もないから、自給農をするには台風の被害さえ我慢すれば向いている。
 上流域でも水量が豊富な川が多く、綺麗な水流が急峻な地形と相まってダイナミックな景観を見せてくれる。しかし住むとなったら水害や土砂崩れのリスクが高い場所も多いので、慎重に見定める必要がある。
 

我が北関東

 冬の朝は放射冷却により東北並みに寒く、夏は東京のヒートアイランドとフェーンの熱気が流れ込むので沖縄より最高気温が高い。
 寒暖差さえ我慢すれば、降雪も台風もなく、瀬戸内地域並みに日照量が多く雨が少ない。東京まで二時間1000円で気軽に行けて、交通の便が良く北海道へも日本アルプスへも行きやすい。
 自給農をするにはビニールハウスやマルチ資材を駆使して寒暖差をカバーすれば何とかなる。大消費地東京に近接しているので農業は盛んで物流は良く物価は安い。車で数時間圏内に日本の人口の1/3が集中しているので、農機具など大型の中古商品が豊富でなにかと物入りな自給自足の環境を整えやすい。
 しかし、海へのアクセスが悪いのが最大の欠点だ。魚の自給は不可能だし、スーパーで売っている魚は輸入物ばかりでおいしくない。
 

やっぱり海が恋しい

 海が家から見えるような場所は強風や塩害などマイナス面が多いので、海岸線から10km位入った広葉樹の森の中に住み、月に数回海に行けるような生活が理想。
 
 日本一の地域は、瀬戸内。
 次点で伊勢。
 
 海さえ気にしなければ、北関東でもいいんだけど。
 聖人君子にはほど遠い凡夫なので、仙人暮らしを志向しつつも東京が放つ魔力に年に数回は吸い寄せられてしまう。今は北関東がちょうど良いのかも知れないけれど、不惑の域に達することができれば、新たなステージが待っていることだろう。