いとう漁協、ダイビングショップともに難関

八幡野港からのカヌー出艇は禁止

 このページは前回からのつづきです。

 昨日川奈から出艇したものの、城ケ崎海岸の高波にビビッて引き返した。今日は昨日より天候もよくベタ凪なので南側の八幡野港から出航すべく、有料駐車場を管理するいとう漁協ダイビングセンターに駐車料金1100円を払いに行く。
 ところが受付のお嬢さんに、港のスロープを使用してカヌーを出してもいいか聞くと、カヌーの出艇は禁止だという。特にカヌーやボート禁止の看板もなかったのにいきなりの不意打ちをくらってしまった。

 これではそもそもカヌーツアー事業で港をつかわせてもらえるかどうか、雲行きが怪しくなってきた。 

 

いとう漁協に相談

 漁協の事務所に行きカヌーツアーや貸しボート事業ができそうかどうか話を伺ったところ、完全にダメ、というわけではないけれど相当難しそう。

・漁港のため漁業以外の使用は原則としてできない。
・漁業者全員の同意が必要で難しい。
・すぐそばでダイビングツアーを行っているので、スクリューにひっかけるなど事故の危険がある。
・地形的に狭く、波も高い海域なので小さいボートは危険
・海底はすぐ深くなる地形なのでアンカーが利かず貸しボートには向いていない。

全体として面倒はごめんだ、という小役人的態度に終始された。

 
 漁協自らがダイビングショップをやっているし、他にダイビングショップが2軒あるので、ダイビングがよくてカヌーがダメな合理的理由はなさそうだけれど、現実問題としては漁業者になんらかの利益を提供できなければ、自分の職場でウロチョロされるのはゴメンだ、というところだろう。少なくとも地元との間を取り持つ漁協職員にある程度の理解を得られなければ、漁業者との合意などとうてい不可能だろうけれど、職員に推進の姿勢は1ミリも見い出せなかった。
 八幡野港周辺を見渡しても、有料駐車場が20台ほどと古い公衆トイレがあるだけで、旅館や食堂があるわけでもなく、外部の客を呼び込んで地域を活性化するという姿勢は感じられない。
 この時点で8割がた八幡野港真ん前の土地を利用しての事業展開は諦めモードに入っていたけれど、競売にかかったこの土地を現在利用しているダイビングショップに話を聞いてみることにした。
 この土地の地主は伊東市内に住んでいて、ダイビングショップが月65000円で借りている。競売の売却基準価格は300万円で、年78万円も賃借料を地主に払い続けるくらいならこの機会に入手するのが普通なのに、なぜ競売に流れたのか。そのあたりの事情を探り、土地を有効利用する方法はないか模索したい。
 
 ショップ受付のお姉さまに、競売に出ている土地を入手したいのだけれど、現在その土地を借りているショップとしては今後どうしたいのか話を伺いたいと尋ねたところ、夕方に責任者と会えることになった。
 さて、昨日同様川奈からカヌーで出艇して城ケ崎を目指すには時間的余裕がないので、陸から城ケ崎観光をすることにした。


橋立吊橋

 城ケ崎の海岸線を巡る遊歩道にはこの橋立と門脇に吊橋がある。
 
 門脇のほうが高くて大きいし、地形もダイナミックなのだけれど、大きいぶん頑丈に作ってあって全然揺れない。普通の道路の橋と変わらないので吊橋特有のスリルは味わえなかった。
 いっぽうこの橋立の吊橋は自分が歩く振動でグラグラ揺れるので、スリル満点でかなり面白い。訪れる人も少ないので存分に楽しめる。

いがいが根

 開けていて芝生の広場もあり、弁当を広げている人がたくさんいた。

 今日は波が穏やかで絶好のカヌー日和だったのに、海上散歩ができなかったのはちょっと悔しい。
 
 海はきれいで海底がかなり深くまで透き通ってみえる。カヌーで散策したらおもしろそうだ。
 高さは10mくらいあって、落ちたらかなり危険だとは思うけれど柵などはなく自由に歩き回れる。固い溶岩で滑りにくいのでそんなに心配することもなさそう。

門脇灯台

 城ケ崎の遊歩道は富戸から八幡野までの海岸線を延々と続いていて、景観もよくたいへん面白かった。ただ午後になると陽が山の陰に隠れてしまうので、歩くなら午前中がよい。門脇に着いたのは午後3時前だったけれど、日陰になってしまったので写真は撮らなかった。よく整備されていて長い坂もないので気楽に歩ける。

 昨日カヌーで航行しそびれた区間をひととおり歩いたわけだけれど、遊歩道が優秀すぎて、わざわざ海上から散策する必要があるのか?という気になってしまった。

ダイビングショップ幹部と面談

 夕方約束の時間少し前にダイビングショップに行くと、60代くらいで恰幅のよい部長が待っていた。
 土地を取得してカヌーツアー事業をやりたいという話をすると、部長も40年前単身で東京から縁もゆかりもないこの地に乗り込み、ゼロからダイビング事業を立ち上げたとのことで、武勇伝の数々をお聞かせいただき、おおいに共感し理解を示していただいた。
 地元の愛好家が趣味の延長で立ち上げたようなショップと想像していたけれど、よくよく話を聞いてみると西伊豆某港のマリーナやダイビング事業を大規模に手掛けていて東京に本社もあり、ここは一支所にすぎないという。

 本題の土地の話になり、どうやらショップがこの機に取得する気はないらしいけれど、ダイビングツアーの拠点として今後も使うつもりらしい。私が取得するなら賃借料は払うという。ただしその額は取得額に妥当な利回りを掛けた金額で、いままでどおり月65000円というわけにはいかないようだ。
 
 
 まぁ当然だろう。
 65000円×12月=78万円なので、もし780万円で落札したとしても10%の利回りになるわけだけれど、それでは高すぎるという。じゃあ立ち退いてもらえるか、といえばそちらが法律を盾に立ち退きを迫るのであれば協力は一切しないという。つまり地元を敵に回すことになるわけだ。

 疑問なのは40年もこの地でダイビング事業を継続しているのに、なぜ僅か基準額300万円程度の土地を取得しようとしないか、ということだ。地主は伊東市内で営む呉服店の不振により破産しただけで、ショップと直接の関係はない。
 この点についてなんどか角度を変えて尋ねてみたものの、どうにも要領をえない。

 

八幡野メガソーラー訴訟

 事前に地元の情報を調査しているときに、こんな記事を見つけていた。
 港に流れ込む八幡野川上流にソーラー発電所が建設中で、大雨のときに流出した土砂により漁業者やダイビングショップが損害を受けたというものだ。
 
 事業者が韓国ハンファ資本ということもあって、地元の伊東市議会は全会一致でソーラー発電所建設に反対して後出しじゃんけん的に条例まで制定。集団で建設中止を求めて提訴している。
 
 この話を振ってみたところ、ショップも原告団に参加しているとのこと。
 海洋汚染の状況を尋ねるとかなり深刻らしい、ここでのマリンレジャーはもうだめだ、と本音が漏れた。
 
 見ず知らずの漁村でダイビング事業を開拓し、40年もの間継続してきた男の無念の想いが見て取れた。

 補償の問題があるから裁判が決着するまで事業を畳むわけにはいかないだろうけれど、近い将来八幡野でのダイビング事業はなくなるのだろう。だから土地を取得しようとしないんだ。1時間近く話しショップの立場がだいたい理解できたので、感謝を述べておいとました。

土地を取得するかどうか考える

 ダイビングと違ってカヌーツアーなら海底の汚染は直接的には問題にならないから、数年後撤退する可能性が高いショップの後釜になるために土地を取得しておくのは悪い選択ではないかもしれない。
 しかしダイビングショップがなくなれば、外部の人間が港を利用することがなくなり、現状でもあまり開放的とはいえない港がますます排他的になっていくことが予想される。漁協の理解も乏しい状況のなかで、地元の合意を得て港を利用させてもらうのは困難だろう。

 なにより川奈~八幡野コースはカヌーツアーのコースとしてイマイチ魅力に欠ける。2年前航行した南伊豆はもっと素晴らしかったし、まだ航行したことのない西伊豆はどうだろう。よし、西伊豆を航行してみてから最終的な結論を出すことにしよう。

つづく