なかなか出ない農家物件なので即決

伊豆の物件を毎日チェックして4年

 約3反(1000坪)の農地付き20坪のコンパクトな平屋。
 ネットで数多くの農家物件をチェックしてきたけれど、こういう物件は珍しい。別荘物件ばかりで農家物件がめったに出ない伊豆では初めて見た。農地付き古民家はたまに見るけど、6DKとか無駄に大きく平成築はなかなかない。

 不動産総合サイトat homeで敷地面積500㎡以上の物件をメール通知するよう設定していたので、掲載翌日の10月7日朝メールを見てすぐに取扱店へ電話して、13日に内覧の予約を入れ5度目の伊豆車中泊の旅がスタートした。
 

300km10時間のドライブ

 あいにく10日前後に台風が接近する予報だったので、余裕を見て13日に予約したのだけれど、11日には天気が回復したので出発。丸1日がかりの移動でそう度々通える距離ではないので、ついでに以前からチェックして気になっていた物件数件を別の不動産会社に内覧予約しておいた。

 GoToトラベルなどの情報もチェックしてみたけれど、いくら半額になるといっても元々0円の車中泊に敵うはずがない。真夏真冬や雨の日を除けば、お気楽で自由な車中泊のほうが快適で性に合っている。GoToイートより畑の野菜を持っていき業務スーパーの激安切り餅(1kg300円)や袋ラーメン(30円)にぶち込んで5分煮れば栄養満点の食事が楽しめる。

 ガソリン価格が10年以上振りの低価格、113円/Lだったのでミラの20km/Lを超える低燃費とあいまって1,700円程で済むのはありがたい。高速を使えば3時間は短縮できるけど、時給1,000円で下道を行く。

 

とりあえず温泉

 内覧予約日の2日前に現地入りし、春から毎日農作業やシステム開発で休みがなかったので半年ぶりにゆっくりするかと、3月に訪れて最高だった戸田「壱の湯」へ向かう。
 元々500円の低価格なのにキャンペーンで250円、ラッキーと思ったのも束の間、広い畳の部屋で漫画を読みながらゴロゴロできて最高だった休憩室がコロナの影響で閉鎖されていた。半額でもこれじゃー意味ない!
 
 翌12日は休憩室がある日帰り温泉をネットで探し、伊豆市の「湯の国会館」で丸1日のんびりしてみた。880円と少々値が張るものの、露天風呂からの渓流の景色が最高で浴槽も多様、畳の休憩室は広々として展望もよくリラックスできる。しかし3月に壱の湯で味わったほどの満足感を得られなかったのは、前回の丸1日ゴロゴロから半年しか経っていないためだろう。ゴロゴロは3年に1度くらいでいいようだ。

いざ内覧

 周辺に人家なく、家の北隣に無人の神社があるのみ。神社の隣だけあって周辺は整備され環境は良好。農地は100mほど離れているものの、家から直に幅4mの農道で通えるので管理しやすそう。さらに伐採適期のヒノキと杉林が一反ある。
 家の中を拝見すると、築22年にしてはほとんど痛みが感じられない。お婆さんが一人で隠居暮らししていたらしく、華美さはなく質素ながら品の良さを感じられる造りだ。
 
 20坪築22年の田舎家で900万円は、宅地が500坪もあることを差し引いても相場より高いと感じ、700万円で指値。坪単価でみれば安いとはいえ、宅地が無駄に広くても固定資産税が高いだけで市場価値としては低い点を突いて交渉した。
 不動産屋としては価格よりも農地の取り扱いに悩んでいたらしく、農地法許可申請を自分で行うと申し出たところ、この客ならあまり手間が掛からなそうと踏んだのだろう、申請に必要な資料一式を渡してくれた。農地の売買は当事者間の合意だけでは無効で農業委員会の許可が必要なので、農家でない一般人にはハードルが高い。価格交渉以前に許可が下りる見込みがあるのか、それが問題だ。
 

農業委員会へ

 あらかじめ事務局を所管する南伊豆町地域整備課の担当者へ電話し、新規就農相談のアポイントを取る。
 まずは面積要件の確認。原則5反の営農が求められるが、過疎地では緩和されていて南伊豆町は2反でよい。物件は3反の農地があり登記簿で確認された。
 つぎに経営見通しの確認。初期投資や当面の生活資金があるか確認されたが、県庁時代の貯金と早期割増退職金がそこそこあるので問題なし。
 最後は農業技術の確認。研修等は受けておらず利用権設定もしていないが、1反の農地を5年間管理していることを当ブログを見せて説明すると、担当者は納得したようだ。
 
 申請書の書き方等詳細に説明をいただき、月末までに提出で翌月19日に委員会開催され審議を経て同月下旬には結果が通知されるのこと。
 

720万円で合意、手付を打つ

 3年前に東伊豆町で農地を含む物件が競売に出たので、入札に必要となる買受適格証明書を発行して欲しいと役場に電話したところ、農家でなく研修も受けていないのであれば出せない、の一点張りで門前払いを喰らった経験があり、かなり身構えて就農相談に望んだのだけれど、30分ほどの面談で感触は良好だった。このあたりの対応には移住者受入れの姿勢を含め地域差が大きいと思われる。

面談結果を不動産屋に連絡し再度価格交渉。

・自社物件につき仲介手数料不要
・所有権移転登記は司法書士を介さず私が受任
 
諸費用を節約し最終的に720万円で合意した。
不動産取得税と登録免許税を入れると総支払額は760万円くらいになりそうだ。買主に許認可申請や移転登記を任せてくれる不動産屋は希少で、付き合いのある行政書士や司法書士に仕事を振って人脈を深めるのが商売人として普通の考え方なので、これには大変感謝だ。書類作成は県庁勤めで慣れているし、10筆以上あるので手数料が高額になるところを50万円くらいは節約できた。

 

 
  

停止条件付契約

 720万円で契約したものの、農地法の許可が受けられなかった場合は特約事項に基づいて契約解除となる。所有権移転登記には農地法の許可書が必要なため、許可されても引き渡しは早くて年末になる、のだが、

 役場事務局は郵送での申請も受け付けてくれるということだけど、書面だけでなく実際に農業委員が現地の営農環境を視察して審査をされる。視察時県外に居ては詳細な案内や説明ができないので、恐らく不利になってしまう。また、事務局から追加で資料や説明を求められる可能性もある。そこで、引き渡しまでの間物件を無償で借りることになった。

 1週間程度の車中泊のための装備しかないし、パソコンもなくタブレットやスマホで農地法許可申請書を作ることもできないので、いったん栃木県に帰って申請書を作成し、冬を越せるだけの荷物を積み込んでから申請期日の月末までに再度南伊豆へ向かうことにした。