来月下旬まで不安定な暮らし

契約はしたものの

 このページは前回からのつづきです。

 農地法の許可が下りてから引っ越すつもりでいたのだけれど、本気で移住して農業やっていく姿勢をすぐに見せたほうが審査に有利だろうから、正式な引き渡しを待たずに住みはじめてはどうか、と提案された。不許可になると面倒な事務手続きを新たな客とやり直すことになるので、不動産屋としても是が非でも許可に持っていきたいのだろう。

 新たなモノを買ったらすぐ使いたいのが人情だし、確かに心証も良くなりそう。これからの季節栃木の家はどんどん寒くなって日当たりも悪くなり不快で灯油代も嵩むし、畑の秋冬野菜はほったらかしでも育つし、タダで貸してくれるっていうし。

 
 
 
 不許可になった場合の撤退作業が面倒だけど、まあいいか。現在進めているキャンピングカー電力管理システムも、幸か不幸か、補助金落ちたおかげで期限があるわけでもなし、ハードウェア設計機器類までは持っていけないけれどソフトウェア設計だけならパソコン1台あればできるし。

 南伊豆の家には前に住んでいた持ち主の生活用品が残っていて、冷蔵庫や電子レンジなど自炊設備が整い布団もある。必要なのは洗濯機くらいか。これなら当面の生活に必要な道具は小さなミラにも詰め込めそうだ。

 16日に栃木へ帰り、農地法第3条の許可申請書を作り、畑を整理し、荷物をまとめて23日に再び南伊豆へ向けて出発した。

ギチギチに詰め込む

 洗濯機、食洗器、ファンヒーター2台、ステレオスピーカー、衣装ケース2つ、パソコン、モニター4台、椅子。
 農地法の許可が下りれば春暖かくなるまでは帰ってこなくてもいいように、できるだけ多くのモノを詰め込んだ。洗濯機の隙間には畑で収穫したばかりの野菜をゴッソリ押し込む。
 
 

農地法許可申請書を提出

 まずは栃木で作成してきた申請書を南伊豆町役場地域整備課へ提出した。
 申請書は役場のホームページに記載例付で載っているので、ほぼ例示どおりに作成。難しいところは特になく、登記簿や公図等は不動産屋が提供してくれた。
 耕作管理計画書がいわゆる企画書にあたり、詳細な収支計画などが求められると思いきや、A4一枚っぺらのみの非常に簡単な記載で済む。こんなんで審査できるのかとも思うけれど、しょせん企画は企画、どんな御大層な計画を立て数字を詰めたところで実現しなければ机上の空論に過ぎないので、結局は人物や現場を見て判断されるのだろう。
 
 担当者が10分ほど熱心にチェックしてくれて、特に指摘を受けることもなく受理された。地区の農業委員さんを教えてもらったので後日挨拶にいくとしよう。

南伊豆は快適

 1週間の気温は最高22℃、最低12℃。その差は10℃しかない。

 いっぽう栃木は最高23℃、最低3℃。その差は20℃もある。

 この内陸特有の寒暖差がやっかいで、心身へのダメージが大変大きい。
 できるだけ緩和すべく床暖房を自作して快適な環境づくりに努めてはきたけれど、外気温との差により発生する結露がひどいし、林のなかの家なので落葉する年末までは日当たりが最悪になる。
 家のなかは床暖房で快適でも、畑の露地野菜は低温と霜にさらされ、1日朝の冷え込みで夏野菜は全滅するだろう。南伊豆ならあと1か月近く収穫を楽しめるのに。

1週間暮らしてみて

 早朝の冷え込みがないのでグッスリ眠れるのが一番の幸せだ。朝布団から出るのが楽で目覚めもよく、生活の質が上がる。
 
 そして空気が違う、単に温度や湿度ではなく成分そのものが違うような。
 栃木 良くいえば「カラッと爽やか」、悪くいえば「硬くてキツイ」
 伊豆 良くいえば「甘くなめらか」、悪くいえば「ヌルっと生暖かい」

 日本列島は大陸の空気と南洋の空気がせめぎあっている場所なので、栃木では大陸の、伊豆では南洋の成分が多く含まれているのだろう。
 伊豆の空気はとてもリラックスできるのだけれど、なんか幸せすぎて満足してしまい生産的なやる気が出ない。栃木のほうがシャキッとするような気がする。

 はたしてどちらがいいのだろうか。
 

生活環境

 東に車5分で南伊豆町の中心街、マックスバリュー、コメリ、コンビニなどで日常の用事はほぼ足りる。さらに15分いけば下田市中心街で、ダイソーや業務スーパーもある。
 灯油がやたら高く、各社GS、ホームセンターどこでも97円均一。栃木なら65円なのにカルテル形成されて競争原理が働かず人生で最も高い灯油を購入するはめになった。18リットル缶で500円高いので、一冬分10缶まとめて沼津あたりで購入したほうが良さそうだ。ガソリンも灯油ほどではないにしろ135円前後と20円近く高い。
 
 魅力度最下位とはいえ腐っても関東、栃木県のほうが品揃えがよいし物価も安いけれど、特殊な物でなければ大抵のものは手に入る。
 
 家から南の海岸線をぐるっと一周すると30分弱、最高のドライブコースだ。
 石廊崎や弓ヶ浜などの名勝でまったりするのもよいし、自然歩道がいたるところに整備されているので散策するもよし、カヌーを出す場所にも事欠かない。伊豆ツーリングのハイライトコースなので、家の前の道路はバイクが多く通り、休日は車より多いくらいだ。

 平坦な宅地が500坪強あり車10台以上余裕で駐車できるし、テント張ったり小屋建てたりするのにちょうどよいスペースが10区画ほどあるので、いずれはキャンプ場やらライダーハウスを経営してみたい。農環境を整えるほうが先なので、数年後の話になるだろうけど。

 なんにせよ農地法の許可が下りなければ全ては始まらない。あと1か月弱の間、夢は膨らめど何一つ手を付けることはできない、なんとも手持ちぶたさな日々。